1/25000地形図の生成時の計算誤差

TrailNoteで扱える最大の用紙サイズはA3です。A3用紙に1/25000図を印刷した場合の誤差が、許容範囲に収まることを確認したいと思います。

ここでは、2点間の距離の計算の最初で確認した、恐ろしく長い式を使って計算している国土地理院の距離計算サイトによる計算が正確であるとします。ヒュベニの公式を使って求めた印刷範囲の座標を、このサイトに入力して距離を求めると 、誤差はどの程度になるでしょうか。

緯度が変わると、地形図を生成するのに必要な画像の画素数が大きく変わりますから、ここでも、利尻山(北海道)、雲取山(東京)、宮之浦岳(鹿児島)の3カ所で調べてみます。

利尻山、雲取山、宮之浦岳の山頂を用紙の中央に配置して、A3サイズ縦、横にして用紙一杯に印刷した場合の上下左右の座標を求めます。 A3サイズの長い辺の長さは 420mmです。1/25000図では、10mmが250mですから、下図のように、250 * 420 / 10 = 10,500mの範囲の地図が用紙に収まればよいことになります。 A3印刷範囲 ヒュベニの公式を使って、A3用紙の左右上下の座標を計算した結果が以下です。

利尻山 雲取山 宮之浦岳
A3縦上端緯度(top) 45.225738 35.902808 30.383436
A3縦下端緯度(bottom) 45.131264 35.808182 30.288727
A3横左端経度(left) 141.175218 138.885770 130.449568
A3横右端経度(right) 141.308802 139.002006 130.558755

ここで求めた座標を、国土地理院の距離計算サイトに入力して正確な距離を算出してみると、以下のようになりました。

利尻山 雲取山 宮之浦岳
上下間距離(height) 10,499.393m 10,499.353m 10,499.262m
左右間距離(width) 10,499.916m 10,499.350m 10,499.367m
上下距離誤差 60.7cm 64.7cm 73.8cm
左右距離誤差 8.4cm 65cm 63.3cm

想定した10500mには、わずかに足りないですが、A3サイズの出力時の計算上の距離の誤差は、大きい場合でも80cm程度でした。1/25000図における距離80cmは、紙の上では0.03mmほどとなります。肉眼では判別不能ですから、地形図の印刷には十分な精度だと思います。

国土地理院発行の1/25000地形図との比較

ヒュベニの公式で求めた距離が、計算上は十分精度が高いことが分かりました。しかし、印刷時におかしな比率で出力されてしまったら意味がありません。

TrailNoteを使って印刷した地形図と、市販されている国土地理院発行の地形図を比較して、本当に正しい縮尺で印刷されているかを確認してみます。 これも、利尻山、雲取山、宮之浦岳で確認したいと思います。確認用に、以下の地形図を購入しました。

利尻山 1/25000地形図 鴛泊(おしどまり)
雲取山 1/25000地形図 雲取山(くもとりやま)
宮之浦岳 1/25000地形図 宮之浦岳(みやのうらだけ)

この地形図と、印刷した地形図を比べてみます。 まず、印刷した地形図の左下の、500mのスケールを測り、いずれも2cmで印刷されていることを確認しました。

次に、紙面上の特徴的な地点間の長さを、手元の定規で測ってみました。それぞれ南北方向と東西方向になるように地点を選んでみました。

開始点 終了点 国土地理院
地形図上での長さ
TrailNoteで印刷した
地形図上での長さ
利尻山P1721 ポン山P444 210〜211mmの間 ほぼ210mm
利尻山P1721 神居ポン山P140 ほぼ265mm 264〜265mmの間
雲取山三角点 妙法ヶ岳P1329 276〜277mmの間 ほぼ277m
雲取山三角点 飛龍山三角点 196〜197mmの間 196〜197mmの間
宮之浦岳三角点 高盤岳P1711 126〜127mmの間 ほぼ127mm
宮之浦岳三角点 太忠岳三角点 239〜240mmの間 239〜240mmの間

どれも、1mm以内の誤差に収まっているようです。

次に、印刷した地形図を半分に折り、それを国土地理院の地形図に重ねてみます。等高線や道路が一致するでしょうか。結果、緯度方向、経度方向ともに、ほぼ一致するのが確認できました。A3用紙の端と端でも、ずれは1mm程度でした。

以上で、印刷しても、ほぼ正確な縮尺が維持されているのが確認できました。

なお、確認の際は、セブンイレブンでA3用紙に余白5mmで印刷しています。